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卵が一年中食べられる理由【ニワトリに感謝しよう】

投稿日:2019年11月24日 更新日:

こんにちは。威吹電男です。

農学部で、ニワトリの研究をしている大学院生です。

 

突然ですが、卵の旬って、ないですよね。

野菜や果物と違って、ニワトリの卵はいつスーパーに行っても売っているものです。

今回は、どうして卵が1年中食べられるのかについて説明します。





卵が一年中食べられる理由

答え:ニワトリが一年中卵を産んでいるから

卵が一年中食べられる理由は、ズバリ、「ニワトリが一年中卵を産んでいるから」です。

 

一般的な動物は、繁殖の時期が決まっています。

鳥類の場合、多くが暖かくなる春に卵を産みます。

そして、産んだ卵を温め、ヒナを孵し、そのヒナの世話をする期間があります。子育てしている間に、新しく卵を産むということはありません。

 

ところが、人に飼われているニワトリはそんなことはしません。そんなことをしていたら、スーパーの卵はあっという間に売り切れて、不足してしまいます。

そこが、ニワトリの特殊な点です。

 

ニワトリ(卵用鶏)が一年間に産む卵の数はおよそ300個。ほぼ毎日一個卵を産んでいることになります。これは野生の鳥と比較したらとんでもない数です。

どうしてこんなことができるのでしょうか。

 

ここからは「なぜニワトリは一年中卵を産み続けることができるのか」について書いていきます。

 

ニワトリが一年中卵を産み続けられる理由

①ニワトリには就巣性がない

人に飼われているニワトリには、就巣性(しゅうそうせい)、すなわち自分で産んだ卵を抱いて温め、ヒナを孵して育てるという性質がありません。

卵を産んでも、産みっぱなしで、放置状態です。これは野生の鳥ではあり得ないことです(托卵する一部の鳥を除く)。

どうしてこうなってしまったのかというと、いわゆる「品種改良」によるものです。

偶然生まれたであろう卵を抱かないニワトリを選んでは掛け合わせ、その子孫同士を掛け合わせ、また子孫を作る・・・という感じで、卵を抱かないニワトリを増やしていき、もともとあった性質を完全に消去してしまったという感じですね。

しかし、そのおかげで、人が卵を回収することができ、ニワトリは次の卵を産むことができます。

 

②日長時間のコントロールにより一年中「春」を作り出している

ニワトリが就巣性を失ったということはお分かりいただけたかと思いますが、今でも変わっていない性質があります。

それは、「やっぱり春にしか卵を産まない」ということです。

ニワトリを野放しにして飼ってみると分かると思いますが、秋や冬の間は、やはり卵を産まないのです。

 

冬でもニワトリに卵を産んでもらうには、ニワトリに一年中春だと思いこませる必要があるのです。

ではどうやって、ニワトリに春だと思わせているかというと、その方法は「日長時間のコントロール」です。

 

意外なことに、ニワトリが季節を感じ取るのは気温ではなく、日長時間すなわち太陽が昇っている時間です。

よって、日長時間を春にしてあげれば、ニワトリは季節を感じることができなくなってしまうのです。

ニワトリは基本窓のない屋内で飼われており、電気をつけたり消したりすることによって昼と夜を作り出して管理されています。

 

ニワトリは昼の間にしか卵を産まない

ニワトリが年間300個の卵を産むと上述しましたが、これはつまり「卵を産まない日もある」ということですね。

 

ではどういう時に卵を産まないのかというと、それは「卵を産もうとしたけど夜になってしまった時」です。

どういうことでしょうか。

 

ニワトリが卵を産む(放卵する)と、すぐに次の卵を産む準備が始まります(体内で排卵が起こる)。

そして、排卵から放卵までの時間は約25時間です。

 

一日の時間は24時間ですから、すなわち、

朝8時に卵を産む→次の日に産むのは9時→その次の日は10時

という感じで、放卵の時間が1時間ずつずれていくのです。

 

こうしていくと、そのうち産む時間が夜になってしまいます。

しかし、ニワトリの排卵は光の刺激によって起こるものなので、暗くなると次排卵が起こるのは明るくなってから、ということになります。

これにより一定時間のブランクが発生し、結果卵を産まない日ができてしまうということです。

 

卵を産まないからって、休憩しているわけではないということですね。

体のしくみ上仕方のないことなのです。

 

まとめ

卵を一年中食べられる理由は、ニワトリが一年中ほぼ毎日卵を産み続けているからです。

人間の都合でこんな状態にされてしまい、ニワトリがかわいそうだと思う人もいるでしょうが、これが人間が長らく積み上げてきた畜産業の実態であり、このおかげで私たちは豊かな食生活が送れるのです。

せっかくなら、ニワトリには大いに感謝した上で、卵をいただきたいものです。

ではまた。



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威吹 電男(いぶき でんお)

1995年生まれ。大学で農学(畜産学)を専攻し、修士卒で食品業界に就職。
サラリーマンをしつつ副業として情報発信を行っています。

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